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こころに残るテクノロジー MC6809

 

 

かつて、6809という石が存在した。
1979年、アメリカ Motorola 社が
開発し「究極の8ビット」と呼ばれた
MPU*1) MC6809 である。

当時 世の中は i8080、 Z80 など
Intel 系マイコンで賑わっていた。
そんな中、ちょっと遅れてやって来た
6809 は目立たない存在でしか
なかったが ‥
 

 

Intel の石と Motorola の石を 比較
すると、面白い特徴の違いが見えてくる。

Intel の石は「積み木」を積み上げる
ように、あれも これもと積み上げて行く。
まるで建て増しを重ね、迷宮状態と
なった温泉旅館のように ‥
けれど、破綻を来す事もなく
どこまでも積み上げて行くその技は、
まさに天才にしか出来ない
離れ業なのかもしれない。
 

対する Motorola の石は、常に
「どれだけ省略できるか」という
徹底した思想に貫かれている。
必要な要素を単純化し、省いて 省いて
ふるいにかけると、最後どうしても
省けないものだけが 後に残る。
この残ったものだけを活かし切り、
いかに強靱で自由自在なパワーを
引出すか と云う点に Motorola の
エネルギーは集中している。 

6809 は、そんな Motorola 社の特質を
全身にまとった MPU であった。 

 

まさに竹を割ったようなアーキテクチャ
を持つ 6809 に取り組んで感ずるのは、
研ぎすまされ 底知れぬ自在なパワーを
秘めていながら、匂い立つような
エレガントさに包まれた有機的な
テクノロジー体 感覚である。
 

そして、さらに
この 有機体は、新たな「OS-9」と呼ぶ
Operating System を生み出す原動力に
なってゆく。

 

 


< 6809 ブロック図 (モトローラ社資料より) >

 

 

‥ であったとしても である。

現世では これまで、対する
Intel 系の石が、我々に絶対的な
恩恵をもたらし続けて来たことに
疑いの余地はない。

でも ‥
こんな仮定は 役にも立たないが

‥ もし、
Motorola の商売がもう少し うまかったとして ‥
‥ もし、
世の中の技術者が 寄ってたかって Intel でなく
Motorola の石に取り組んでいたとしたら ‥

「我々は 現在の何倍もの ディジタル技術に 
 よる恩恵を享受できていたに違いない ‥ 」
と考えるのは、わたしだけだろうか?

 

かつて 6809 の洗礼を受けた わたしは、
今でも
「できれば Intel の石には触りたくない」
との思いを 拭い切れない。

 

 

*1) MPU : Micro Processing Unit
     (マイクロプロセッサ、マイコン)

 


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